【うちのポチシリーズ】後編

取材・構成・文 神保美佳

今回のコラムは、ジェイビーの最新機種、羽根モノパチンコ『うちのポチーズ』にまつわる開発秘話やエピソードをお届けします。執筆はモチーフとなった前身機種にも詳しいパチンコライター、神保美佳さんです。


【うちのポチーズDX】
2014年発売


【うちのポチーズRX】
2014年発売

<ポチーズは、こんな風に生まれていった>

1990年に誕生し、多くのファンを魅了した『うちのポチ』。今年遂に『うちのポチーズ』となって、再び私たちを楽しませてくれています。そこで後半では、ジェイビー開発本部および同社営業本部の皆様に、開発苦労話やオススメの楽しみ方、今後の展望などについてお聞きしたインタビューをお届けします。

--まずは開発本部ご担当者様に、開発に関してお聞きします。ポチーズの役モノ構造が、磁石付きドラムおよび手前中央のVゾーンになったいきさつは?

「初代当時に比べ、羽根モノタイプではV入賞率の規定が厳しくなっているため、安定させるために磁石付きの役モノにしました。しかし実際に作ってみると、意外なV入賞ルートも色々あったのが、結果的に新しい面白さを生み出したと思います。Vゾーンの位置については、役モノ内部に入った玉の行方が最後まで目で追えるという狙いで、ステージ手前に決定しましたね」

--役モノでは玉がくっついた磁石の位置、そして下段奥にある可動体、さらには左右にいる子犬たちや中央のモグラなど、様々な要因がV入賞に影響を与えますね。

「この機種ではV入賞期待度が約12分の1で設計されているのですが、それをどうやって各ルートに分散させるかがポイントでした。例えば、中央にくっついた玉が100%V入賞してしまうと、そこに行くか行かないかのゲーム性になってしまいます。さらにドラム端に付いた玉が完全にハズれてしまったり、モグラが邪魔しすぎてもいけないですし。特に、モグラの動きは何パターンも変えてデータを取り、時間を費やしました」

--それから初代同様、ポチの耳も大きなポイントとなっていますね。

「実はポチの耳のパターンには何種類かあり、それをポチモードではドット絵によって示唆しているんです。多くの羽根モノでは“羽根が開いた時早めに拾われるとチャンス”となっていますが、ポチーズではどのタイミングで拾ってもチャンスを作りたかったので、思い切って耳の開くパターンで調整してみたんですよ」

--あのドット絵はそういう意味もあったのですか。他にも、ボタンなどで裏技はありますか?

「大当りラウンドのエンディングでボタンを3回押すと、BGMが“森のくまさん”に変化します。それ以外は特に裏技のようなものはありませんが、この曲は弊社の代表作『J-RUSH』でも使われていましたので、そういった意味でも思い入れがありますね」

--開発に関して、一番苦労したのはどの部分でしょうか?

「V入賞での継続タイプ(DX)と、ラウンド振り分けタイプ(RX)という2スペックを作り、両者ともホールさんで使って頂ける内容に仕上げる、という部分が苦労しました。特にDXのタイプは現在市場にあまりないのですが、羽根モノ本来の面白さを再現するため、こだわった部分ですね」

--最後に開発担当として、見どころを教えて下さい。

「先ほど少し触れた通り、この機種はイレギュラー含めV入賞パターンが豊富ですので、そういったところを楽しんで頂きたいですね。また、RXスペックには2チャッカーの保留が付いていますが、2回開きの2回目で拾われると後ろに回りやすく、期待感が高まるようにしてあります。そんな“お楽しみ”も体感して下さい」

<羽根モノの課題とジェイビーの方針>

近年、羽根モノよりデジパチタイプを好む声として、「デジパチはチャッカー入賞すれば必ず大当りの抽選が行われるが、羽根モノはチャッカーに入りづらかったり羽根に拾われなければ、その時点で終わってしまうので、敬遠してしまうことが多い」というものが、多く聞かれます。大当りのプロセスが目で見て楽しめる羽根モノゆえ、ホールでの使い方も市場を広げられるかの大きなポイントとなっているといえるでしょう。そこでここからは営業担当の方に、現場での反響やジェイビーとして今後どのような方向性で進んで行くのかをお聞きしました。

--ポチーズの、市場での反響はいかがですか?

「やはり、女性のお客様が増えたという声が多いですね。また、V入賞のパターンが多彩で最後まで目で追えるのが面白い、という声も多数聞かれ、私たちの意図するところが伝わったのも良かったです」

--羽根モノといえば、昔は1機種で1列以上設置が当り前で、パチンコの入門ジャンルという認識でした。しかし近年は少ない台数しか設置しないところも増えていますが、課題はどこでしょう?

「そこは、ホールさんの認識の違いだと思います。羽根モノを多数設置して、6年間は大事に使いたいと言って頂けるホールさんも、もちろん少なくありません。ポチーズは売り上げよりも稼動を重視してほしい機種ですので、長い目で使って頂ければと思っています。またパチンコ全体としても、版権料の高騰や派手な見た目を競うなど、お客様に負担が行き過ぎているのが現状です。私たちならではの魅力ある機種によって、ファンの方を増やして行ければと思っています」

--今後も、羽根モノタイプは発表されるご予定ですか?

「けっこう、現場からは『道路工事』をまた作ってほしい、など羽根モノへの要望が多いんです。やはり、そうしたニーズへの手応えは少しずつ感じていますので、目で見て大当りを実感できる楽しさを搭載した機種は、今後も発表して導入を進め、市場を活性化させたいですね」

--続いてここからは、ジェイビーの方針や今後について役員の方にお伺いします。御社の機種開発への取り組みについて教えて下さい。

「私たちは、必ず前作の市場評価に耳を傾け、ニーズに合ったものをお届けするように心がけています。例えばポチーズでは、『マジカペ』でVゾーンが動いているところや玉の動きへの影響が少なかったところが反省点でしたので、それを踏まえた役モノを搭載しています。また、DXスペック最終ラウンドで羽根が開きっぱなしになるというアイデアも、パチンコとは無関係の業種の方の意見を偶然聞いて、面白いのではということで盛り込みました。このように、固定概念にとらわれず様々な意見を今後も取り入れて、個性を生かした機種をお届けしていきたいと思っています」

--ファンの方へメッセージがありましたら、お願いします。

「今、パチンコでは派手な見た目や版権によるインパクトを競うような状況になってしまっていますが、まず私たちのオリジナル機種を触ってみて頂きたいですね。ポチーズにしても、遊んでみてもらえれば必ず面白いと言って頂ける自信があります。若いファンの方は、羽根モノ自体遊んだ経験がないため、面白さをご存じないということもあると思いますので、ぜひまずは触って遊んでみて下さい」

--最後に、今後の方針についてお聞かせ下さい。

「私たちジェイビーは、SANKYOのブランドの一つという位置づけではありますが、個性ある機種を送り出しているメーカーです。まず存在を認知して頂き、ホールさんで許可いっぱいまで使って頂けるような、息の長い人気機種をご提供できるよう、尽力して参ります」

--皆様、有り難うございました。

いかがでしたか? 今回のインタビューで、ポチーズそしてジェイビーというメーカーについて、少しでもその魅力が伝われば幸いです。
また、稼働中の『うちのポチーズ』をさらに奥深く楽しむポイントもお聞きしましたので、改めて念頭に置いてみて下さい!

神保 美佳プロフィール

ライター・コラムニスト。法政大学卒業後、パチンコ好きが高じて1990年OLから遊技業界誌記者に転身。93年に独立し、「パチンコ必勝ガイド」などの専門誌をはじめ業界誌、週刊誌、スポーツ紙、WEB媒体などでコラムや取材記事を執筆。主な著書「パチンコ必勝大図鑑(白夜書房)」「パチンコ年代記(バジリコ)」など。